Research Topics

代表的な研究成果

  1. 典型元素化合物の機能発現
  2. アルキンの分子内環化を基盤とする縮環型π電子系の化学
  3. ナノ構造制御へ向けたπ電子系の分子設計
  4. 動的機能発現を目指した柔軟なπ電子系のデザイン

Research Overview

“典型元素化学” から “マテリアルズサイエンス” へ

“典型元素化学を基盤とした新物質合成からの材料科学(マテリアルズサイエンス)への展開” が,我々のメインテーマである.ここでいう典型元素とは,13族から16族までのC, N, O以外の元素を指すこととする.これまで,個々の元素について,広範かつ詳細に研究が展開されており,それぞれの元素についての化学ができあがっている.有機ケイ素化学や有機ホウ素化学などである.その研究の関心は主に,新しい結合様式や構造をもつ化合物の合成と反応性,構造特性,物性の理解に向けられてきた.いわばピュアケミストリーであり,有機化学と無機化学との間に重要な学問領域を形成している.

この化学の視点を材料科学(マテリアルズサイエンス)へと向けてみる.そこから新たな可能性がうまれてくるのである.典型元素群には電子欠損性の13族,炭素と同族の14族,非共有電子対を有する15族,16族などの電子数の多様性に加え,電気的に陽性な金属から半金属,電気的に陰性な非金属元素がそろっており,さらに低配位から高配位まで多様な構造の可能性がそなわっている.それら個々の元素の特性を巧く利用することにより,従来のC,N,Oを中心とする有機化学では実現できないような物性・機能をもつ分子系の構築が可能になると期待できる.典型元素化学は,21世紀のマテリアルズサイエンスのシーズの宝庫といえるのではなかろうか.

いかに元素を使うか?

では,いかに典型元素化合物をマテリアルズサイエンスへと展開するのか.この観点から見た場合,典型元素と炭素π電子系とを組み合わせた化合物がおもしろい.炭素−炭素二重結合からなるπ電子系は,π電子の非局在化により,電気的,磁気的,そして光学的に特異な性質を示す.有機電界発光(EL)素子や有機電界効果型トランジスタ(FET)素子などの有機エレクトロニクス,あるいは将来の分子エレクトロニクスにおいて間違いなく主役となる化合物群であり,今,世界中で新しい物質探索が躍起になって展開されている.このπ電子系骨格に典型元素を組み込み,典型元素化学のエッセンスを持ち込む.これにより,新たな物性,機能を附与することができるのである.

ここで,いかに典型元素とπ電子系とを組み合わせるのかがポイントとなる.我々は,いくつかある典型元素の特徴の中でも,「軌道相互作用」,「配位数変化」,「特異な構造特性」の三つに注目している.典型元素とπ共役骨格との「軌道間相互作用」により電子構造のファインチューニングが可能となる.「配位数変化」を制御することにより新しい機能を引き出すことができる.そして,「特異な構造特性」を巧く使うことにより特異な3次元構造をもつ分子系の構築が可能になる.これらの特性を巧みに活かした分子設計により新機能性材料の創成を進めている.

新しい反応開発からはじまる新しい物質科学

我々の研究の特徴は,新しいタイプの反応の開発に重点を置くことである.上述の典型元素化学に立脚した分子設計により設計した分子系は従来法では合成が困難な場合がほとんどである.それを,「いかに」,「効率的に」創るか,それが本研究の鍵を握る.その効率的合成を,典型金属あるいは遷移金属の反応性を巧く利用することによる新しいタイプの反応開拓により実現する.この反応開発を基軸に,将来のエレクトロニクス分野において基幹材料となり得る真に優れた分子系の創出を目指している.

これまで広範に研究が展開されてきた典型元素化学のエッセンスと反応開発を中心とした合成化学との融合により創り出される新材料の可能性の探求から,新しい科学(サイエンス)への展開を目指して研究を進めている.詳しくは,下記のトピックスを参照にされたい.