THE YAMAGUCHI GROUP
名古屋大学大学院理学研究科  物質理学専攻化学系  機能有機化学研究室
 
 
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 ペンタフルバレンは,2つのシクロペンタジエン環が環外二重結合を介して交差共役したπ電子系であり,多段階酸化還元特性や高い電子受容性から興味深い骨格である.一方,無置換のペンタフルバレンは熱的に不安定な化合物であり,化合物の熱力学的安定化のためには置換基や芳香環縮環部位の導入が必須である.ペンタフルバレンを電子受容性π電子系の基本骨格として展開するためには,ペンタフルバレン誘導体の効率的合成法の開発が必要不可欠である.これに対して今回我々は,ビス(アルケニルアリール)アセチレンの分子内光二重5-exo環化を新たに開発し,チオフェン縮環ペンタフルバレンの効率的合成を達成した.本反応は種々のアリール基をもつ基質に適用可能であり,得られたペンタフルバレン類の多様な電子構造修飾が可能であることを示した.