Phosphine Sulfides as an Anchor Unit for Single Molecule Junction
A. Fukazawa, M. Kiguchi, S. Tange, Y. Ichihashi, Q. Zhao, T. Takahashi, T. Konishi, K. Murakoshi, Y. Tsuji, A. Staykov, K. Yoshizawa, S. Yamaguchi, Chem. Lett., 40, 174-176 (2011).
[DOI: 10.1246/cl.2011.174]
(Selected as Editor’s Choice)
典型元素化学から分子エレクトロニクスへ
2011/01/15
分子エレクトロニクスにおいて,電極と分子を接合するアンカー部位は,単一分子の電気伝導特性を決定づける重要な因子として認識されつつある.本論文では,ホスフィンスルフィド (P=S) のアンカーとしての可能性に着目し,モデル分子としてジベンゾホスホールスルフィドを両末端にもつフェニレンおよびビフェニレンを合成した.STMを用いた単一分子の電気伝導度計測により,これらが代表的なアンカーであるチオールと同等の伝導性をもつことを示した (木口 学 准教授 (北大, 現東工大)との共同研究).さらに,電極原子を考慮に入れた理論計算により,これらの化合物がフェルミ準位近傍にLUMO準位をもち,共鳴トンネル機構による電気伝導を示すことが示唆された (吉澤一成教授 (九大) との共同研究).ホスフィンスルフィドの高い電子受容性を反映した結果であるといえる.